社会的共通資本(読み)しゃかいてききょうつしほん(英語表記)Social Common Capital

知恵蔵mini 「社会的共通資本」の解説

社会的共通資本

日本の経済学者・宇沢弘文が提唱した概念。具体的には、森林大気水道・教育・報道・公園・病院など産業や生活にとって必要不可欠な社会的資本を示すが、2000年11月に宇沢が刊行した『社会的共通資本』(岩波書店)で「一つの国ないし特定の地域に住むすべての人々が、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような社会的装置を意味する。」と定義しているように、単なる「社会資本」を超えた意味合いをもつ。社会的共通資本は、大きく「自然環境」「社会的インフラストラクチャー」「制度資本」の三つに分けられ、それらに属する全てのものは、国家的に管理されたり、利潤追求の対象として市場に委ねられたりしてはならず、職業的専門家によってその知見規範に従い管理・維持されなければならないとされている。

(2014-11-4)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android