民謡の曲名。大漁の祝歌(いわいうた)で日本の沿岸各地に広く分布する。最も有名なのは千葉県銚子の《大漁節》で,イワシの豊漁でわいた1864年(元治1),大漁を記念して網元の網代久三郎,松本旭江,石毛利兵衛の3人が数え歌形式の歌詞を10番作り,常磐津の師匠の遊蝶が作曲した。一番の歌は〈一ツトセー,一番ずつに積みたてて,川口押し込む,大矢声,エーコノ大漁船〉で,終りの囃しことばを〈ああ大漁だね〉と歌うこともある。また〈ウンリャトット,ウンリャトット,松島のサーヨー,瑞巌寺ほどの……〉で始まる《大漁歌い込み》は,宮城県一帯で歌われる大漁祝歌で,ドヤ節,斎太郎(さいたら)節,遠島甚句(としまじんく)で構成されている。1927年ころ後藤桃水と弟子の八木寿水が上記の三つの歌を巧みに構成・縮曲して作り上げたという。
執筆者:須藤 豊彦
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