福屋郷(読み)ふくやごう

日本歴史地名大系 「福屋郷」の解説

福屋郷
ふくやごう

現在のあさひ今市いまいちから福屋氏の本拠の一つであった本明ほんみよう山南麓の金城かなぎ今福いまふく、北麓の江津市福田ふくだ辺りにかけての一帯に比定される中世郷。正和二年(一三一三)一一月二日の六波羅御教書案(益田家文書)によれば、石見国伊甘いかみ(現浜田市)地頭であった益田左衛門太郎兼長の後家尼阿忍が、福屋郷地頭の「金口」掘削による田地流失被害を幕府に訴えている。なお貞応二年(一二二三)三月日の石見国惣田数注文に「ふくや知行」と注記して木田きた重富しげとみ市木いちぎ(現旭町)久佐くざ(現金城町)阿刀あと(現江津市)など、のちの福屋氏領の主要部分がみえるが、地名としての福屋郷はみえない。また「ふくや知行」の注記は後代の加筆と思われ、貞応二年時点で実際に福屋郷の領主として御神本氏(のちの益田氏)分流の福屋氏が成立していたかどうかも不明。これより先の貞応元年九月一八日の六波羅御教書案(益田家文書)に「福原」地頭職がみえており、福原は福屋の可能性もある。

建武三年(一三三六)一一月二六日の足利尊氏寄進状(本圀寺文書)では本圀ほんこく(現京都市山科区)造営料として福屋郷が寄進されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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