福岡庄(読み)ふくおかのしよう

日本歴史地名大系 「福岡庄」の解説

福岡庄
ふくおかのしよう

吉井川左岸の現長船町福岡を遺称地とし、周辺一帯から対岸の現岡山市北東部一帯に推定される。嘉応二年(一一七〇)の当庄の作麦畠注文案(東寺百合文書、以下同文書は省略)によれば、庄全体の畠二六〇町余、このうち給免畠、川成等をのぞいた定畠は一九一町余で、百枝月ももえづき村・吉井よしい(現岡山市)福原土居ふくはらどいいま村・居都こづ(比定地不詳)などに散在していた。平家の所領であったが、寿永三年(一一八四)源頼朝によって崇徳院法華堂に寄進された。しかし、支配不徹底のため、翌年あらためて縁者の妹尾尼に寄せられることとなった(「吾妻鏡」寿永四年五月一日条)。文治四年(一一八八)崇徳天皇の国忌にあたって、勤修料とされている(同書一〇月四日条)

建長元年(一二四九)の当庄吉井村の内検目録によれば、一宮石津いしづ(現岡山市の石津神社)、常福寺、平安寺などの神社・寺院が存在している。正嘉元年(一二五七)には市場の成立が認められる(吉井村畠目録案)。一遍智真が福岡の市で布教したのは弘安元年(一二七八)のことであった。この時二八〇余人もの人々が出家したという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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