日本大百科全書(ニッポニカ) 「福岡連隊差別事件」の意味・わかりやすい解説
福岡連隊差別事件
ふくおかれんたいさべつじけん
1926年(大正15)に起きた全国水平社の反軍闘争。この年1月に福岡第24連隊に入営した全国水平社青年同盟員井元麟之(いもとりんし)らは隊内の差別事件を指摘して連隊当局を糾弾した。これは全国水平社九州連合会あげての闘争となり、青年訓練所の占拠、ボイコットも行われた。6月連隊当局が部落問題講演会を開くことで収束をみたが、その約束が破棄されたため闘争は激化した。県内各地で連隊糾弾の集会が開かれ、福岡県内の日本労働組合評議会、日本農民組合、労働農民党、全日本無産青年同盟などの組織も支援した。しかし11月、警察は、水平社が連隊爆破を計画したという事実を捏造(ねつぞう)して、指導者の松本治一郎(じいちろう)ら17名を検挙し、闘争を弾圧した。
[藤野 豊]
『新藤東洋男著『ドキュメント・福岡連隊事件』(1974・現代史出版会)』