神奈川県の北西端、津久井郡(つくいぐん)にあった旧町名(藤野町(まち))。現在は、相模原市(さがみはらし)の西部を占める緑(みどり)区の一地域。1955年(昭和30)吉野(よしの)町と日連(ひづれ)、名倉(なぐら)、牧野、佐野川の4村が合併して藤野町と改称。2007年(平成19)相模原市に編入。JR中央本線、国道20号が通り、中央自動車道の相模(さがみ)湖インターチェンジがある。これら幹線交通路に沿う低地は旧町域の10%程度で、旧甲州街道の吉野、関野両宿から続く市街地のほかは農山村である。かつては養蚕が主産業であったが、近年ではユズ、クリ、茶、山菜が特産。ほかにシイタケの栽培、ユズやウメの加工品開発、観光農業に力を入れている。東部に相模湖があり、首都圏の緑のオアシス地域で、都市勤労者の憩いの場として観光農園の藤野園芸ランド、県立藤野芸術の家、和竿(わさお)美術館が設けられている。西部は山梨県と接するが、生活上は東京都西部や相模原市中心市街地との結び付きが深い。北東の陣馬山(じんばやま)(857メートル)は奥高尾ハイキングコースの拠点で、初秋の月見の最適地として知られる。沢井の石井家住宅(非公開)は国指定重要文化財。
[浅香幸雄]
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