(読み)いなたばり

精選版 日本国語大辞典 「秉」の意味・読み・例文・類語

いな‐たばり【秉】

  1. 〘 名詞 〙 刈りとった稲を束ねること。稲を積み重ねること。また、そのもの。いなづか。〔十巻本和名抄(934頃)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「秉」の読み・字形・画数・意味


8画

[字音] ヘイ
[字訓] とる・たば

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
禾(か)+(又)(ゆう)。禾を束ねて手に持つ形。その一束をいう。〔説文三下に「禾の束なり」、〔爾雅、釈詁〕に「執るなり」という。〔詩、小雅、大田〕「彼に秉(ゐへい)り」とは、田に残されている落穂をいう。四秉を筥(きよ)とする。斉器の〔国差(こくさたん)〕に「西郭の寶(はうたん)四秉なるを鑄(つく)る。用(もつ)て旨酒を實(みた)さん」とあって、量の単位に用いる。堅く執る意から、金文に「を秉(と)ること恭純」「威儀を秉る」のように用いる。〔詩、大雅、烝民〕に「民の彝(つね)を秉る 此の懿を好む」の句がある。

[訓義]
1. とる、もつ、手にもつ、とりもつ。
2. たば、稲たば、一にぎりのたば。
3. ますめ、粟十六斛。
4. 柄・(へい)と通じ、え、えだ。

[古辞書の訓]
〔和名抄〕秉 以奈太波利(いなたはり)と訓む。毛詩に見ゆ(箋)稻手張の義、禾を束ねて握に盈つるを謂ふなり 〔名義抄〕秉 イナタバリ・トル・タバヌ 〔字鏡集〕秉 ツカサドル・イナタハリ・タモツ・トル・タバヌ

[声系]
〔説文〕に秉声の字を収めず、ただ(柄)の重文として篆文を収める。

[語系]
秉・)pyangは同声。把peaと声近く、巴は把握する形。いずれも手に握持することをいう。

[熟語]
秉彝秉夷・秉為秉鈞・秉・秉権秉憲秉言・秉公・秉国秉持秉執秉燭・秉職・秉心秉信秉芻・秉性秉政秉誠・秉節秉鐸・秉直秉統・秉道秉徳・秉秉轡秉筆・秉文・秉文秉鞭・秉法秉耒
[下接語]
遺秉・権秉・国秉・総秉

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