朝日日本歴史人物事典 「秦公春」の解説
秦公春
生年:生年不詳
平安末期の随身。左近衛府の府生(武官)。藤原頼長に仕える。また頼長の男色の相手のひとり。頼長の信頼が厚く,荘園の監督・狼藉の取り締まり,さらに頼長の意を受けて政敵などへの暴行や暗殺まで行った。頼長は毎月読経して公春の延命を祈り,病には種々の祈祷を繰り返すなど,身分を超えたつながりだった。公春の死は頼長に強い衝撃を与え,頼長の日記『台記』にはその死を悼む文章が数十ページ記されていたという。<参考文献>東野治之「日記にみる藤原頼長の男色関係」(『ヒストリア』84号)
(渡辺晴美)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報