稲積郷(読み)いなづみごう

日本歴史地名大系 「稲積郷」の解説

稲積郷
いなづみごう

和名抄所載の郷。同書の諸本とも訓を欠く。和気清麻呂が大隅国に配流されたとき、桑原の父老稲積なる者の家に寓居したと伝えられ、現牧園まきぞの宿窪田しゆくくぼたを古くは稲積と称したことからおどり郷かとしている(鹿児島県史)。同郷は現牧園町の中心部にあたるが、「続日本紀」神護景雲三年(七六九)九月二五日丑条には「於是道鏡大怒、解清麻呂本官(中略)除名配於大隅」とあるのみで、配流先の郡名などは伝承がよりどころになっている。同書の文武天皇三年(六九九)一二月四日条に「令大宰府修三野、稲積二城」とある稲積城は、当時の対隼人策から当郷に築いたものとみられる。当時の隼人勢力の一大拠点となっていた贈於そおの地域と対峙する位置として、宿窪田付近は適地であろう。


稲積郷
いなづみごう

「和名抄」所載の郷。大隅国桑原くわはら郡にも同名の郷がある。諸本ともに訓を欠くが、イナヅミであろう。「大日本地名辞書」は比定地不詳としながらも、南方みなみかた(現坊津町)にあたるかとする。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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