国指定史跡ガイド 「穴太廃寺跡」の解説
あのうはいじあと【穴太廃寺跡】
滋賀県大津市穴太にある寺院跡。近江大津宮の北に位置する、白鳳(はくほう)時代を中心に平安時代の中ごろまで存続した寺院の遺構。大津宮の造営にともなって城郭的な役割を果たす関連遺跡の一つであり、発掘調査の結果、2つの時期の伽藍(がらん)配置のあることが判明した。うち創建当初の伽藍配置は明確ではなく、寺院が完成していたかは不明だが、穴太周辺に残る古い地割りに沿って建てられた奈良の法起寺(ほっきじ)式、あるいは川原寺(かわらでら)式の寺院である。再建寺院は大津への遷都にともなって建物の主軸を大津宮関係の建物の方位に合わせ、法起寺式伽藍配置で建て替えられたとみられ、西に金堂、東に塔、北に講堂がある。講堂跡付近から、塼仏(せんぶつ)や銀製押出仏などが出土した。1997年(平成9)に国の史跡に指定された。京阪電鉄石山坂本線穴太駅から徒歩約5分。