穴山郷(読み)あなやまごう

日本歴史地名大系 「穴山郷」の解説

穴山郷
あなやまごう

釜無川の左岸、現韮崎市穴山町を遺称地として一帯に比定される。武田氏一族、穴山氏の本貫地とされる。永禄四年(一五六一)の番帳に「穴山の禰き」とみえ、武田氏は当郷鎮守稲蔵いなくら大明神(近世には諏訪大明神、現穂見神社)禰宜に対して府中八幡宮への勤番を命じている。天正八年(一五八〇)一一月一〇日、穴山信君(梅雪)は軍役奉公を申出た矢戸木金平に対し、当郷の増分のなかから一千疋(一〇貫文)の地を宛行っている(「穴山信君判物写」楓軒文書纂)。なお天正九年武田勝頼が本拠地移転・新城建設を図った折、穴山梅雪が本拠地である当郷の一部を進上、同所に新府城を築城させたといわれているので(甲陽軍鑑)、郷域は新府城跡のある現在の中田町中条なかだまちなかじよう付近までを含んでいたと推定される。なお「一蓮寺過去帳」には明応七年(一四九八)一月一二日供養の衆一房に「穴山殿御内」とあり、ほかに「純阿弥陀仏穴山殿」「与阿弥陀仏穴山」などがみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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