穴無郷(読み)あなしごう

日本歴史地名大系 「穴無郷」の解説

穴無郷
あなしごう

和名抄」にみえる餝磨しかま穴无あなし郷を継承した中世の郷名。いち川河口右岸、現姫路市飾磨区阿成しかまくあなせを遺称地とする。応安元年(一三六八)二月二五日の高市宗政田畠寄進(大徳寺文書)によると、宗政は自身が建立した「穴無郷内海珠寺」に田三町八段余・畠一町を寄進した。永和三年(一三七七)六月一日、宗政は同寺を京都大徳寺の住持言外(宗忠)に寄進(「高市宗政海珠寺寄進状」同文書)、以後大徳寺塔頭如意によい(言外宗忠が至徳三年までに創建)所管となった。同年六月日の穴無郷内高市宗政領知田畠坪付注文(同文書)によれば、田三町八段余のうち海珠寺門田二段余、八幡宮弁済分などを除き定米二九石余、畠一町の地子銭二貫四四〇文。翌四年二月、穴無郷代官橋本長阿の代官職没収に伴って郷内の海珠寺領がことごとく没収されたが(「如意庵申状案」同文書)如意庵の訴えにより、康暦二年(一三八〇)四月二一日に播磨守護赤松義則は当郷内の田畠二町五段を海珠寺に寄進した(「赤松義則田畠寄進状」同文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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