竈形土器(読み)かまどがたどき

精選版 日本国語大辞典 「竈形土器」の意味・読み・例文・類語

かまどがた‐どき【竈形土器】

〘名〙 古墳時代副葬のために作られた竈、釜、甑(こしき)からなる炊具の模造土器。

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改訂新版 世界大百科事典 「竈形土器」の意味・わかりやすい解説

竈形土器 (かまどがたどき)

壁や床に作り付けられた炊飯施設と区別される持ち運び可能な土製の炊飯具。耐火に適した土師器(はじき)の竈・釜・甑・鍋がセットをなす。源流は中国・朝鮮の炊飯制にあり,5世紀後半に伝わり,以後〈韓竈(からかまど)〉と呼ばれてきた。6世紀後半,漢の王室の後裔と称する一部の百済系渡来氏族の間では韓竈のミニチュア古墳に収める慣行があり,冥界の竈,死者の炊飯,生者と死者の火継のシンボルとなっている。イザナキ・イザナミの〈黄泉之竈(よもつへぐい)〉の神話とも関連する慣行である。8,9世紀には,平城京や平安京では多量の韓竈ミニチュアが用いられている。これは中国道教の影響をうけて成立してくる〈大祓〉の一画を占めるもので,人々の罪過を天帝に報ずる竈神の形代とされている。
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