化学辞典 第2版 「立体配座表示法」の解説
立体配座表示法
リッタイハイザヒョウジホウ
nomenclature of conformation
IUPACが推奨する立体配座の表示法.エタン形化合物の立体配座を表すのに,トランス,シス,ゴーシュ,アンチなど種々の用語が用いられるようになっているが,安定配座における注目する二つの置換基の二面角を,図示した領域の略号で統一的に示す方法である.sはsynの略で“同じ側”,aはantiの略で“反対側”,cはclinalの略で“傾斜した”,pはperiplanerの略で“ほぼ平面”を意味する.回転軸の両端の基準となる二つの置換基は,次の規則によって定め,それらを含む平面の二面角を示す.
(1)炭素が不斉炭素で置換基が三つとも異なるときは,順位則で優先する基を選ぶ.
(2)三つの置換基のうち一つが異なる場合には,順位則に関係なくそれを選ぶ.
(3)三つとも置換基が同じときは,二面角が最小になるように選ぶ.
この表示法は,オレフィンや二重結合性をもった単結合には用いられない.[別用語参照]E,Z命名法
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報