オガネソン(読み)おがねそん(その他表記)oganesson

デジタル大辞泉 「オガネソン」の意味・読み・例文・類語

オガネソン(oganesson)

超アクチノイド元素超ウラン元素の一。2002年、ロシア米国の共同研究チームが、カルシウムカリホルニウム原子を衝突させて生成した。ウンウンオクチウム(ununoctium、Uuo)の暫定名で呼ばれていたが、2016年にIUPAC国際純正・応用化学連合)により正式名とされた。研究チームのうちロシア側のドゥブナ合同原子核研究所で、超アクチノイド元素の研究を主導したユーリ=オガネシアンにちなむ。元素記号Og 原子番号118。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オガネソン」の意味・わかりやすい解説

オガネソン
おがねそん
oganesson

超アクチノイド人工放射性元素の一つ。原子番号118番、元素記号Og。周期表第18族に属する。新元素として認定されるまでの暫定名称はウンウンオクチウムununoctium(暫定元素記号Uuo)。2002年、ロシアのドゥブナ研究所(ドゥブナ合同原子核研究所)から、カルシウム原子核をカリホルニウム原子核に衝突させる実験で118番元素の生成が報告され、その後アメリカのローレンス・リバモア国立研究所との共同研究が進められ、2006年には116番元素リバモリウムと同時に生成したとの報告があった。

 2015年12月、国際純正・応用化学連合(IUPAC:International Union of Pure and Applied Chemistry)は、IUPACと国際純粋・応用物理学連合(IUPAP:International Union of Pure and Applied Physics)の共同作業部会(JWP:Joint Working Party)が118番元素の発見を承認したことを発表し、ドゥブナ研究所とローレンス・リバモア国立研究所に元素名提案権を与えた。2016年6月、ドゥブナ研究所での核合成研究を主導したロシアの核物理学者ユーリ・オガネシアンYuri Oganessian(1933― )の名にちなんだ元素名oganessonと元素記号Ogが提案され、同年11月に公認された。第18族は貴ガス元素(希ガス元素)であり、ヘリウムheliumを除く各貴ガス元素の英語名称の語尾がすべて-onとなるところから、oganessonとなっている。

 質量数294の同位体は、きわめて短い半減期でα(アルファ)崩壊してリバモリウムになる。理論計算によっていくつかの物性定数が予測されている。

 なお、オガネシアンは2016年11月の時点で存命であり、元素名の由来となった命名時存命中の科学者としては、アメリカの化学者シーボーグ(106番元素シーボーギウムの命名の由来)に次ぐ2例目となった。

[岩本振武 2016年12月12日]



オガネソン(データノート)
おがねそんでーたのーと

オガネソン
 元素記号  Og
 原子番号  118
 原子量   (294)※
 融点    ―
 沸点    ―
※括弧内の数値は原子量ではなく、同位体質量数の一例

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オガネソン」の意味・わかりやすい解説

オガネソン
oganesson

人工元素および希ガス元素の一つ。元素記号 Og。原子番号 118。1999年アメリカ合衆国のローレンス・リバモア国立研究所の研究グループが,同位体(質量数 208)とクリプトン同位体(質量数 86)を衝突させることで,118番元素をつくりだすことに成功したと発表した。しかしその後,データに改竄かいざん)があったことがわかり,2002年発表が取り消された。2006年ロシアの合同核研究所 JINRの研究グループが,2002年と 2005年にサイクロトロンにおいて 245MeV(メガ電子ボルト)のエネルギーを用い,カルシウム同位体(質量数 48)とカリホルニウム同位体(質量数 249)とを核反応させることで,中性子 3個と 118番元素の原子 1個が生成されたと発表した。この原子は数ミリ秒後にα粒子(ヘリウム原子核)を放出して原子核が崩壊,別の超ウラン元素であるリバモリウムが生成された。118番元素はわずかしか生成されないため,物理的,化学的特性は決定されていない。しかし,室温でガス状であると考えられ,ラドンのように半金属の化学的特性をもつと予想される。名称のオガネソンは,超重核の物理学の発展に貢献したロシアの科学者ユーリ・オガネシアンにちなんで命名された。

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