順位則(読み)ジュンイソク(その他表記)sequence rule

化学辞典 第2版 「順位則」の解説

順位則
ジュンイソク
sequence rule

キラル分子立体配置RS表示で表す際に,置換基順位づけをするための規則.以下に,おもな要点を記す.
(1)原子番号の大きい原子は小さいものより上位である.
(2)同位元素質量数の大きいものが,小さいものより上位である.
(3)Z配置(cis)はE配置(trans)よりも上位である.
(4)似た配置の組合せからなる基(たとえば,RR)は,そうでない組合せからなる基(たとえば,RS)よりも上位である.
(5)R配置はS配置より上位である.
このほかにも,細かく定められている.多重結合をもつ原子の場合は,多重結合を開いて,その結合手に多重結合の先の原子がそれぞれ結合していると仮定して,四配位にしたうえで,上記の順位則をあてはめる.多重結合の先に追加したこのような原子をレプリカ原子(replica atom)とよぶ.

これらの規則によって決められた置換基の順位を表に示したが,後のものほど上位である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

法則の辞典 「順位則」の解説

順位則【sequence rule】

別名を序列規則ともいう.R/S方式でキラルな有機化合物の立体配置を決定する際の置換基の順序を定める規則である.以下に示す8か条からなっている.カーン‐インゴルド‐プレログ則*の項も参照

(1) 原子番号の大きいものを小さいものより優位とする.

(2) 同位体質量の大きいものを小さいものより優位とする.

(3) Z配置(seq-cis)はE(seq-trans) より優位とする.

(4) R,RまたはS,Sのように同じ立体配置が組になっているものは,R,SまたはS,Rの組よりも優位とする.

(5) R配置はS配置より優位とする.

(6) 多重結合が分子内にあるときには,二重結合を開いて,それぞれの結合相手の原子がそこに結合していると仮定して順位を決定する(このような仮想原子のことをレプリカ原子と呼ぶ).

(7) 共鳴系が存在する場合には,古典的な原子価結合の構造式に従い,レプリカ原子を入れて順位を定める.

(8) 原子価が4に満たない原子の立体配置を表示するときには,仮想的な空原子(原子価ゼロ)を付けて,順位を定める.

出典 朝倉書店法則の辞典について 情報

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