笠嶋遺跡(読み)かさしまいせき

日本歴史地名大系 「笠嶋遺跡」の解説

笠嶋遺跡
かさしまいせき

[現在地名]串本町串本 笠嶋

潮岬しおのみさき台地と紀伊半島を結ぶ砂洲の南端部にある弥生後期・末期の漁村海辺に崩落した遺跡。昭和七年(一九三二)弥生土器が発見され、同二九年低湿地泥炭層から土器・木製品が出土した。同三五年発掘調査され、潮岬台地中腹にあった集落が一瞬の間に海辺か入江に崩れ落ち、低湿地泥炭遺跡となったものと推定された。高坏・鉢・壺・甕などの土器、砥石・石錘・叩石ほか船材・船具・漁労具・漁網具・建築材・生活什器具・杭類など豊富な木製の漁業関係品が出土した。

弥生時代すでに漁業の専業集団が発生していた地と考えられ、出土品のうち船底材と舷側板、梁などの組合せから、高度な造船技術で造られた全長八メートル以内の小型構造船が想定され、復元すると若狭地方の艫太舟に類似するが、へさきのそりの強いことは他に類例をみない。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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