笹野彫り(読み)ささのぼり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「笹野彫り」の意味・わかりやすい解説

笹野彫り
ささのぼり

郷土玩具(がんぐ)。山形県米沢(よねざわ)市笹野千手観音の縁日(1月17日)に売られる縁起物サワグルミコシアブラなど、白肌の木の丸棒を先端から削り掛けに彫り、これに彩色したもの。この削り掛け技法は、807年(大同2)同観音建立のころから伝えられたというが、この地の先住民族アイヌの信仰的な遺習が、そのまま農民の生活に溶け込んだとする説があり、特異な存在である。

 江戸時代安永(あんえい)(1772~81)のころ、米沢藩主上杉治憲(はるのり)(鷹山(ようざん))が、産業奨励の一つとして、農民の副業につくらせたのが今日の基礎になった。種類には、冬季に生花のかわりに菊、椿(つばき)、牡丹(ぼたん)の形につくって神仏に供える笹野花をはじめ、鷹山公を象徴するお鷹(たか)ぽっぽ、蘇民将来(そみんしょうらい)(家運隆昌、疫病除(よ)け)、餅(もち)つき兎(うさぎ)(勤労)、恵比寿大黒(えびすだいこく)(福徳円満)、鶺鴒(せきれい)(子孫繁栄)、鶏(にわとり)(早起き)など縁起にちなんだものが多い。雄鶏(おんどり)が1969年(昭和44)酉(とり)年の年賀切手の図案になった。

[斎藤良輔]


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