福徳(読み)ふくとく

精選版 日本国語大辞典 「福徳」の意味・読み・例文・類語

ふく‐とく【福徳】

[1] 〘名〙
① 仏語。他に恵みを与え、自らの徳を積む善行。また、それによって得られる功徳
※霊異記(810‐824)中「此の功徳に藉りて、右の腋に福徳の翮(つばさ)を著けて、沖虚の表に翔り」 〔法華経‐観世音菩薩普門品〕
② 幸福と利益。幸福と豊かさ。福利
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「まづしき人のためにはいとよし。『これは大ふくとくにおはしなん』」
八卦忌(はっけいみ)による万事吉の方角のひとつ。福徳の方。遊年の卦(か)の中・下段陰陽を変えたもの。
玉蘂‐嘉禎四年(1238)二月一三日「吉時已至。可西方。〈福徳方云々。生気・養者方、有方忌之故也〉」
④ 北斗七星の一つで、福星の武曲星のこと。〔欽定協紀弁方書‐本原二・小遊年変卦〕
[2] 室町時代関東で使用された私年号。延徳二年(一四九〇)から二年間使われたとみられる。

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デジタル大辞泉 「福徳」の意味・読み・例文・類語

ふく‐とく【福徳】

幸福と利徳。財産や幸せに恵まれていること。「福徳円満」
善根によって得る利得。功徳と福利。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「福徳」の読み・字形・画数・意味

【福徳】ふくとく

善行。人に福徳を与える。〔仏国記、上〕此の國中~各徒衆り。亦た皆乞す。~路の側に舍の屋宇て、臥牀飮行路の人に供給す。

字通「福」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の福徳の言及

【異年号】より

…いずれも正年号を拒否することで室町幕府に反抗する政治意思がこめられている。 しかるに15世紀末以降の戦国時代に,東国・奥州に現れる福徳(1489),弥勒(1506か07ころ),永喜(1526),宝寿(1533),命禄(1540)などの年号は,弥勒や福神の信仰に頼って天災・飢饉の厄難から逃れようとの願望の所産であって,正年号に対する政治的な不満,反抗,否定を含意したこれまでの異年号と一見趣を異にする。ところが当時の年号には,年号に攘災招福の呪力があるとのたてまえから,ほかならぬ攘災招福のために制定されたものがはなはだ多いことを考えると,これらの異年号は,国家公定の年号のもつたてまえ上の呪力を否定することで,国家の年号に対する根源的批判を表明したわけで,ここに異年号のもつもう一つの性格をうかがうことができる。…

※「福徳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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