サワグルミ(読み)さわぐるみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サワグルミ」の意味・わかりやすい解説

サワグルミ
さわぐるみ / 沢胡桃
[学] Pterocarya rhoifolia Sieb. et Zucc.

クルミ科(APG分類:クルミ科)の落葉高木。フジグルミ(藤胡桃)、カワグルミ(川胡桃)ともいう。高さ30メートル、径1メートルに達する。葉は羽状複葉で小葉は11~21枚、卵状長楕円(ちょうだえん)形から披針(ひしん)形、長さ6~12センチメートル、幅1.5~4センチメートル、先は鋭くとがり、縁(へり)に細かい鋸歯(きょし)がある。花期は5月。雄花下垂する尾状花序につく。包葉が長く伸び、先に小包葉2枚と花被片(かひへん)1枚をつけ、雄しべは7~10本。雌花は包葉の腋(えき)に1個ずつつき、花被は浅く4裂する。雌花序も下垂し、果時に伸長して長さ20~30センチメートルに達する。翼果は小包葉が扁円(へんえん)形の大きな翼となり、幅2.2センチメートル。山地谷間に生え、北海道南西部から九州にかけて分布する。中国の一部にも分布する。幹はまっすぐで材は白色で軽く、細工物に利用し、葉は薬用とする。

[伊藤浩司 2020年2月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サワグルミ」の意味・わかりやすい解説

サワグルミ(沢胡桃)
サワグルミ
Pterocarya rhoifolia

クルミ科の落葉高木。山地の谷間に生える。高さ 10~20mになり,大きな羽状複葉を枝先に集めてつける。葉柄の基部がふくらむ特徴がある。5月頃に,葉腋から長い花穂を出して垂れ下がる。雄花序は長さ数 cmで黄色い葯 (やく) が密生し,雌花序はずっと長くまばらに小花をつける。花後雌花の包葉が合着して2枚の翼となり,この翼をもった果実が長い果穂をつくって垂下するので美しい。果実は利用できないが,材は白色で柔らかく,マッチの軸木や下駄材などに用いられる。5月頃,長い尾状花序をつける。

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