粉河村(読み)こかわむら

日本歴史地名大系 「粉河村」の解説

粉河村
こかわむら

[現在地名]粉河町粉河

紀ノ川の北側丘陵地帯にあり、村域は南北に細長い。北半は葛城(和泉)山脈から南に張出した山地、南半は耕地で、その中央部を南に中津なかつ川が流れ紀ノ川に入る。大和街道が東西に通る。北は中津川なかつがわ村、南は紀ノ川を挟んで安良見あらみ杉原すいばらの両村。「粉川」とも記される。「続風土記」は「此地旧人家なく唯此山中に観音堂一宇ありしに、宝亀年中以後参詣の人多く土地自然に開け、松井村より移り住する者ありて遂に一村を成したるなり、因りて松井村は粉河の本村なりといひ伝ふ、粉河は旧川の名にして村の名にあらす、村名は西村といひしなるへし、正暦二年官符の文に見はる東野村と相対せる名なり」とあって、粉河寺門前町として開けた村であったことが知られる。平安中期以降は粉河寺領とされたが、中世には粉河津(「御室御所高野山御参籠日記」久安四年四月五日条)とよばれて紀ノ川水運の中継港として栄え、「粉川市」(応永三年五月三日付「中司頼春夫役定書」鞆淵八幡神社文書)もあった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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