朝日日本歴史人物事典 「粟生屋源右衛門」の解説
粟生屋源右衛門
生年:寛政1(1789)
江戸後期の九谷焼の陶工。加賀国(石川県)小松生まれ。父源兵衛は東郊と号し,京焼を学び,寛政10(1798)年より小松で楽焼を始め,茶器などを制作した。源右衛門は若杉窯の本多貞吉のもとで学び,父の死後,文政5(1822)年小松の材木町で開窯した。若杉窯では主工を務め,文政7年には本多貞吉の養子清兵衛らと共に吉田屋窯を開窯し,ここでも主工を務めた。さらに,蓮代寺窯,小野窯,松山窯などでも指導に当たり,再興九谷諸窯の発展に尽くした。楽焼系の軟陶を得意とし,白土を化粧がけし,上絵で彩色した箪笥,硯箱,卓など,木工品のような作品に特色がある。号は父と同じ東郊。
(伊藤嘉章)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報