…その最初の紹介が神戸文哉(かんべぶんさい)によるJ.R.レーノルズ編《内科学全書》(1872)中のH.モーズリー著〈精神病〉の章の訳出で,1876年に《精神病約説》を表題として刊行され,また,3年後には最初の精神医学の講義が御雇外国人の内科教師E.vonベルツにより現在の東大医学部で行われた。 ちなみに,日本では明治以後〈精神病学〉という用語が長く使われ,〈精神医学〉がそれに代わったのは第2次大戦以後のことで,後者は時の東大教授内村祐之の訳語といわれる。〈精神病学〉から〈精神医学〉への変化は象徴的で,これは精神病院のなかに密封されていた精神分裂病など狭義の精神病を対象とした医学から,人格障害や神経症など社会内で生活可能な軽い異常状態をも扱う医学へという発展を意味する。…
※「精神病学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」