糸崎寺(読み)いとさきじ

日本歴史地名大系 「糸崎寺」の解説

糸崎寺
いとさきじ

[現在地名]福井市糸崎町

糸崎の東、山麓にある。真言宗智山派。育王山竜華院と称する。本尊千手観音。糸崎寺縁起によれば、養老三年(七一九)泰澄が自ら刻んだ十一面観音像を安置して創立、天平勝宝八年(七五六)唐の浙江省県育王寺の禅海がかの地の寺地に似た勝地を求めて千手観音像と育王山の写図とを携え来航、糸崎浦の山形を育王山に見立てて当寺に観音像を安置し、住したと伝える。「延喜式」神名帳の坂井さかい郡に「糸前イトサキノ神社」がみえ、その別当寺であったと考えられるが、神社は早くに廃絶したらしく伝承がない。

永禄四年(一五六一)四月、朝倉義景なつめ大窪おおくぼの浜で犬追物を興行したが、「朝倉始末記」に「五日糸崎寺ヘ参詣有テ、寺中ノ坊ニ旅宿アリ」とあり、このとき当寺に止宿している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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