糸引(読み)いとひき

精選版 日本国語大辞典 「糸引」の意味・読み・例文・類語

いと‐ひき【糸引】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 糸を引き伸ばすこと。また、糸を引き伸ばしたような状態になること。
  3. いととり(糸取)
    1. [初出の実例]「信州濃州之糸挽共同道仕、奥州へ罷下り」(出典:永録帳(古事類苑・産業一七))
  4. 糸を引いてするくじ引き。
    1. [初出の実例]「但糸引榛揩群臣踏歌竝停之」(出典内裏式(833)十六日踏歌式)
  5. 他の人を巧みにあやつり、行動させること。また、そのあやつる人。
    1. [初出の実例]「これにゃア、くっついて、糸引きをする奴がゐるな」(出典:歌舞伎・彩入御伽草(おつま八郎兵衛)(1808)序幕)
  6. 仏などを合掌して拝むときに、その指先から糸のようなものが現われるという俗信
  7. ( 月経時は戸外労働をしないでもっぱら屋内で糸を紡いだところから ) 月経、また出産の忌みことば。
    1. [初出の実例]「正月は名さゑも猶忌んで、糸引に出ると云へり」(出典:八丈実記(1848‐55)風俗)
  8. いとひきあじ(糸引鰺)
  9. 糸引き納豆をいう女房詞
    1. [初出の実例]「将又糸引廿拝領仕候」(出典:醍醐寺文書‐永享四年(1432)一二月九日足利義教拝賀訪料足注文案紙背(年未詳一一月三日・性存書状))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

南海トラフ臨時情報

東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...

南海トラフ臨時情報の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android