朝日日本歴史人物事典 「紀船守」の解説
紀船守
生年:天平3(731)
奈良時代の公卿。紀猿取の子,勝長の父。娘のひとりは桓武天皇の妃。藤原仲麻呂の乱(764)で孝謙上皇の詔使となり,仲麻呂方の中衛府の将監矢田部老を殺し,淳仁 天皇のところにあった印璽を奪った。その功により従七位下から従五位下に昇った。のち近衛少将,近衛員外中将と武官としての歩みをつづけ,天応1(781)年6月参議。桓武天皇の信任厚く,延暦3(784)年6月に藤原種継らと共に造長岡宮使となり,長岡京(向日市,長岡京市,京都府大山崎町)の造営に当たった。9年2月に正三位,翌年1月大納言。死去ののち正二位右大臣を贈られた。
(寺崎保広)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報