絃曲大榛抄(読み)げんきょくたいしんしょう

改訂新版 世界大百科事典 「絃曲大榛抄」の意味・わかりやすい解説

絃曲大榛抄 (げんきょくたいしんしょう)

三味線の楽譜集。葛の屋道広(葛野端山)著,光崎検校校閲。1828年(文政11)に初編雪,月,花3巻3冊が京都野田治兵衛より刊行序題は,単に《大榛抄》とある。雪,月の2巻には,京都伝承の柳川流三味線組歌の表組全7曲の譜が収録され,花の巻には〈雑歌(ひらうた)〉として,長歌1曲,手事物1曲,芝居歌2曲,端歌7曲の計11曲の譜が収録されているが,その時代に流行していた代表曲を選んだものと思われる。いずれも,その記譜法は当時としては最も精細・正確を期したものといえ,歌の譜まで記譜されているのが特色本書出版により,光崎が職屋敷の反感を買ったという伝説には確証がない。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「絃曲大榛抄」の意味・わかりやすい解説

絃曲大榛抄
げんきょくたいしんしょう

地歌三弦楽譜。半紙判3冊の初編のみ文政 11 (1828) 年刊行。奥書に予告された第2~6編は刊行されなかった。序文文政7 (23) 年。葛野端山編,光崎検校校閲,京都野田治兵衛らが出版。雪の巻,月の巻に三味線本手 (組歌) の表組を,花の巻に雑歌 (ひらうた) として端歌の比較的詳細な譜を収載。中央の表間・裏間を表わす記号の上に歌詞をあてはめ,右側に歌,左側に三弦の音高を十二律名のかな略記法で記譜する。明治以前の邦楽譜としては最も精密で合理的である。

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