化学辞典 第2版 「組換体」の解説
組換体
クミカエタイ
recombinant
組換えDNA技術によって,異種(自然界では遺伝子の交換が起こらない種)のDNAを挿入された微生物や培養細胞あるいは動物,植物.予期せぬ生物災害(バイオハザード)を防ぐため,組換体の作出を伴う実験は「組換えDNA実験指針」によって規制され,二重の安全対策を講じることが義務づけられている.一つは,物理的に組換体を外界に出さないように,安全キャビネット中で実験を行うもので,「物理的封じ込め」とよんでいる.安全性のレベルはphysicalのPをとってP2,P3のように表記される.数字が大きくなるほど組換体の封じ込めが厳密になり,安全度が増す.もう一つは「生物学的封じ込め」で,宿主として機能欠損株を用いることにより,組換体が試験管の外では生きていけないようにする.生物学的封じ込めレベルにはB1とB2があり,これも数字が増すと安全度が増す.規制はPとBの和で行う.すなわち,安全度3の実験ならば,P2/B1かP1/B2の組合せで行うことができる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報