バイオハザード(読み)ばいおはざーど(英語表記)biohazard

翻訳|biohazard

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バイオハザード」の意味・わかりやすい解説

バイオハザード
ばいおはざーど
biohazard

生物災害ウイルスなどの有害な生物が自然環境へ漏れでて、人間や自然界の生物に及ぼす害や、こうした微生物が作り出す毒素などによる害をいう。ヒトや動物が感染すると危険な病原体だけでなく、遺伝子組換え実験などでつくられた微生物も対象になる。病原体に関しては、日本国内では国立感染症研究所の「病原体等安全管理規程」によってバイオセーフティレベル(BSL)が1~4の4段階に分類されている。たとえば、レベル1には危険度の低いウイルス、レベル2にはインフルエンザウイルスなど、レベル3には高病原性鳥インフルエンザなど、レベル4にはエボラウイルスなどが含まれる。また遺伝子組換えに関しては、関係する環境省や文部科学省、厚生労働省、農林水産省などの6省が担当を分担する「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(平成15年法律97号。通称遺伝子組換え規制法、カルタヘナ法)によって規定されている。これは、遺伝子組換え実験や遺伝子組換えを利用した生産、さらに組換え生物の環境放出を防止し、生物災害を防ぐ役割も担っている。

[飯野和美 2016年5月19日]

『本庄重男著『バイオハザード原論』(2004・緑風出版)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バイオハザード」の意味・わかりやすい解説

バイオハザード
biohazard

biological hazardの略。生物災害と訳されている。生物,特に病原微生物を取扱う実験に伴う災害をいう。放射線災害,薬品災害などと対比される言葉。近年学問進歩に伴って多くの研究者が危険性の高い,あるいは危険性の未知な病原微生物の突然変異体を取扱うようになり,このバイオハザードの問題がクローズアップされた。アメリカでは,疾病管理センターが病原体の危険性の評価と危険度の分類を決定し,国立癌研究所が腫瘍ウイルスを分類し,国立衛生研究所が遺伝子組換え実験の取扱基準を決めた。日本では国立感染症研究所のバイオハザード委員会が,アメリカの分類や取扱基準を参考にし,日本の現状を考慮したうえで,病原体危険度の分類を行なった。現在,バイオハザード防止策として,病原体を物理的に隔離する実験方法 (→物理的封じ込め ) のほかに,特定の宿主を用い,その宿主を管理する生物的管理法 (→生物学的封じ込め ) が実施されている。

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