結晶の原子面(読み)けっしょうのげんしめん(その他表記)atomic planes of crystal

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「結晶の原子面」の意味・わかりやすい解説

結晶の原子面
けっしょうのげんしめん
atomic planes of crystal

分子結晶以外の結晶はすべて原子またはイオンの規則配列でできており,原子,イオンの外側電子殻は互いに接するほどの間隔で並んでいる。便宜的にそれをもっと小さい丸と考え,結晶の断面の原子配列をみるとすると,そこには多数多方向の原子列が存在する。それが結晶内の多数の原子面の断面であることは明らかで,これを原子面という。結晶が原子,イオンの規則配列であるかぎり,平行な原子面はすべて同じ原子配列模様をもち,等間隔で重なっている。その原子面間隔 dブラッグの原子面間距離という (→ブラッグの条件 ) 。それぞれの原子面は結晶内に設定される3本の結晶軸を基準として,面がその各軸を切る点の原点からの結晶学的距離の逆数で表わされ,便宜上それを整数に換算して示す。これを原子面のミラー指数という。このように結晶が原子,イオンの点の規則配列であるという考え方から一歩進め,結晶が原子面の積層から成るという考え方は,転位積層欠陥概念を得るために非常に大切である。原子密度の高い原子面は特に重要で,刃状転位はだいたいにおいてこの面内でしか運動できない。転位の運動できる面を結晶のすべり面といい,結晶格子型によって決っている。

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