日本大百科全書(ニッポニカ) 「結膜乾燥症」の意味・わかりやすい解説
結膜乾燥症
けつまくかんそうしょう
ビタミンAの欠乏によって結膜が乾燥する疾患。球結膜に潤いがなく、角膜の両側に白い斑点(はんてん)(ビトーBitot斑)ができる。眼球を動かすと結膜にしわがよる。この状態のとき、同時に夜盲がある。ビタミンAの欠乏は、摂取量の不足、または重症疾患で吸収不良になった場合などにおこる。幼児では声がかれ、下痢をおこす。さらに進行すると角膜軟化症になり、角膜全面が淡く濁り、やがて中央に潰瘍(かいよう)を生ずる。治療時機を失すると角膜が破れ、多くは失明する。治療としては、肝油の内服、ビタミンA剤の内服か注射が効く。速やかな投与が必要である。
また、広義の結膜乾燥症には、薬物の腐食、熱傷、トラコーマ、天疱瘡(てんぽうそう)などで結膜が瘢痕(はんこん)化し、涙の分泌が減少する、いわゆるドライ・アイを含めることがある。
[内田幸男]