絞扼輪症候群(読み)こうやくりんしょうこうぐん(英語表記)Constriction ring syndrome

六訂版 家庭医学大全科 「絞扼輪症候群」の解説

絞扼輪症候群
こうやくりんしょうこうぐん
Constriction ring syndrome
(運動器系の病気(外傷を含む))

どんな病気か

 上肢下肢などの複数の部位に、(ひも)でしばったような「くびれ(絞扼輪)」がみられたり、切断された後のような状態がみられることのある異常です(図4)。とくに指で変化が強い場合もあります。

原因は何か

 母体のなかで、手足や指の形ができ上がる時期(胎生7週)のあとでの何らかの異常によって生じます。有力な説は、胎児を包んでいる袋(羊膜(ようまく))が壊れ、その結果できたひも状のバンドが組織を締め上げることによって生じるとするものです。

症状の現れ方

 上肢や下肢の一部が切断されている場合があります。切断までに至っていなくても、通常よりも深いしわが複数みられます。指でも、さまざまな程度に絞扼輪と切断状態がみられることがあります。指の先端が癒合(ゆごう)している場合も、基部(根元)は分離していることが少なくありません(これを先端合指(せんたんごうし)と呼びます。通常の合指とは対照的です)。

検査と診断

 手指では絞扼輪や切断、先端合指がみられ、他の部位(腕や下肢)にも絞扼輪などの所見がみられれば診断できます。

治療の方法

 深い絞扼輪に対しては形成手術が必要となります。先端合指には分離手術が行われます。

病気に気づいたらどうする

 専門整形外科医や形成外科医のいる病院を受診して相談してください。

奥住 成晴


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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