昆虫など無脊椎(むせきつい)動物の一部と、脊椎動物のうち爬虫(はちゅう)類、鳥類、哺乳(ほにゅう)類の胚(はい)発生の際、胚体を直接包む胚膜をいう。羊膜と胚体の間の間隙(かんげき)は羊膜腔(こう)とよばれ、羊水で満たされていて、胚体を機械的衝撃から保護していると考えられている。羊膜は、胚膜の一つである漿膜(しょうまく)と同じ起源で、脊椎動物では胚発生の早い時期に、胚体のすぐ外側の外胚葉が裏打ちをしている中胚葉とともにひだとなって盛り上がり、胚体の前後、両側から胚体を二重に包み中央で合して融合する。このひだの胚体に面している側が羊膜となり、外側が漿膜となる。羊膜と漿膜の間隙は胚体外体腔となり、のちに尿嚢(のう)が入り込んでくる。胚期に羊膜をつくる脊椎動物を羊膜類、つくらない脊椎動物(魚類、両生類)を無羊膜類と分けることがある。昆虫の羊膜は脊椎動物のものと異なり、中胚葉の裏打ちがない。表割後になると胚帯ができ、そこで胚体の形成がおこるが、残された胚体外の細胞層が胚体との相対的な位置の移動により羊膜と漿膜になる。
[竹内重夫]
昆虫類および脊椎動物羊膜類の発生過程で形成される胚膜の一つ。受精卵が卵割を経て数百から1000個ほどの細胞の集まりになると,その一部に将来胚を形成する部域が分化してくる。それにつれてその周辺の外胚葉および中胚葉の細胞がひだとなってもち上がり,胚体の上に前後左右から覆いかぶさるように伸びて胚体の上部で出会い,出会った部分の隔壁が消えると,胚は結局二重の膜(羊膜と漿膜(しようまく)。いずれも中胚葉に裏打ちされた外胚葉の薄膜。ただし互いにその向きは反対)で包まれる。この内側のものが羊膜であり,胚体と連続し,胚を直接に覆う。羊膜類では,羊膜上皮の細胞が羊水を分泌して胚体との間隙(羊膜腔amniotic cavity)を満たすため,胚はこの液体中におかれ,水中で発生した先祖とさして変わらぬ条件下で発生することができる。
執筆者:団 まりな
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…胎児をつつむ羊膜amnionと胎児の間の空所である羊膜腔を満たす液体。初めは無色透明かあるいはごくわずかに濁るが,後には胎児の生毛や脱落上皮,脂肪,尿が加わり灰白色から帯黄色となる。…
…一方,被包脱落膜へ向かう部分の絨毛はしだいに萎縮退行して,表面が平滑となり,絨毛無毛部(滑絨毛部)となる。 絨毛膜の内面には,成長していく胎児をとりまくように羊膜が発生する。羊膜は薄い透明な血管のない膜で,胎児付着茎のところで絨毛膜に接し,内部の空間である羊膜腔には羊水が充満する。…
…胎児をつつむ羊膜amnionと胎児の間の空所である羊膜腔を満たす液体。初めは無色透明かあるいはごくわずかに濁るが,後には胎児の生毛や脱落上皮,脂肪,尿が加わり灰白色から帯黄色となる。…
※「羊膜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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