給黎郡(読み)きいれぐん

日本歴史地名大系 「給黎郡」の解説

給黎郡
きいれぐん

薩摩国の郡名。古代からみえ、明治二九年(一八九六)に廃された。この間、中世には給黎院(現喜入町)となり、近世初期には喜入きいれ郡と表記された。古代から近世初頭まで郡域は現喜入町域であったが、寛文四年(一六六四)知覧ちらん町にあたる知覧郡を合併。これにより北は谿山たにやま郡、西は河辺郡、南は西から海、頴娃えい郡・揖宿いぶすき郡に接し、東は海に面している。

〔古代〕

天平八年(七三六)の薩摩国正税帳(正倉院文書)にみえる隼人十一郡の一つ。管郷は給黎郷のみで、一郡一郷の特殊な郡であった。「和名抄」諸本は給黎と記し、東急本国郡部は「支比礼」、名博本は「キヒレ」と読む。「日本地理志料」は、伊予国の給理郡(正しくは越智郡給理郷)を高山寺本が「古保利」と読んでいることから、給黎もコホリすなわち郡と同義とする。

〔中世〕

喜入肝付家本薩摩国建久図田帳に「給黎郡四十丁」とあり、建仁二年(一二〇二)二月一九日の薩摩国留守所下文案(宮内庁書陵部蔵宇佐宮日時正遷宮一会例)によると、大隅正八幡宮(現鹿児島神宮)造営のため「給黎郡」に官粮米五斗二升の弁済が命じられているように、給黎院とは別に給黎郡の記載もみられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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