日本大百科全書(ニッポニカ) 「喜入」の意味・わかりやすい解説
喜入
きいれ
鹿児島県揖宿郡(いぶすきぐん)にあった旧町名(喜入町(ちょう))。現在は鹿児島市の南部を占める一地区。1956年(昭和31)町制施行。2004年(平成16)鹿児島市に編入。『和名抄(わみょうしょう)』の給黎郷(きいれごう)の地。旧町域は、薩摩半島(さつまはんとう)南東部、鹿児島湾に面する。薩摩半島の分水界をなす南薩山地の東側斜面で、海岸に沿ってJR指宿枕崎(いぶすきまくらざき)線と国道226号が走る。1967年、中名(なかみょう)に日本石油(現、JX日鉱日石石油基地)の原油備蓄基地が建設(1969年操業)されてから一躍有名になった。その貯蔵能力は735万キロリットルで日本国内の石油使用量の約2週間分である。産業は農業が中心で、近年は畜産、野菜なども生産されるが、耕地が狭く、鹿児島市中心部への通勤者も多い。1969年指宿スカイラインが開通した。南部の千貫平(せんがんびら)からの展望はすばらしい。生見(ぬくみ)海岸には海水浴場があり、「喜入のリュウキュウコウガイ産地(メヒルギ)」は国の特別天然記念物に指定される。
[田島康弘]
『『喜入町郷土史』(1981・喜入町)』