絶対的貧困(読み)ぜったいてきひんこん(英語表記)absolute poverty

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

絶対的貧困
ぜったいてきひんこん
absolute poverty

人間として最低限の生活をも営むことができないような状態,すなわちベーシック・ヒューマン・ニーズ (=BHN) が達成されていない貧困状態をいう。貧困は低開発の結果でもあるが,それは人間知力,体力を損なうという意味で,多くの場合,発展に対する阻害要因としても作用する。特に,乳幼児期の栄養失調知的障害を引起すことが知られており,その影響は将来にいたるまで大きな影響をもたらす。

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知恵蔵の解説

絶対的貧困

栄養不良、文盲疾病、悪環境、高い幼児死亡率、低い平均寿命などによって特徴付けられ、人間らしい生活からはほど遠い状態のこと。一般に、「絶対的貧困」とは、ある個人家計収入と支出、「相対的貧困」とは、ある個人や家計の収入と他のそれとを比較して定義されるが、生活水準が国によって異なるので、貧困ラインも各国ごとに設定されている。ただし、国際比較のために、世界銀行は1993年の購買力平価換算で1日あたりの生活費1ドルを貧困ラインと設定し、それ未満で生活している人々を絶対的貧困層(または極貧層)と定義している。これによると、2004年末現在、世界で9億6948万人(世界人口の15%)が絶対的貧困の状態にあると推定されている。地域別では、インドなどの南アジアが4億4620万人で最も多く、次いでサハラ以南アフリカが2億9830万人、中国を含む東アジア・大洋州が1億6913万人などとなっている。なお、1987年の推計値は11億8320万人(世界人口の28%)であったから、世界の絶対的貧困は、世界人口に占める比率では減少したものの、絶対数では過去17年間でさほど大幅には緩和されてこなかったことになる。

(室井義雄 専修大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

世界大百科事典内の絶対的貧困の言及

【貧困】より

…さらに再起しえない悲惨な貧困地域を随所に発生せしめる。 生存充足の絶対量を確保しえないものを絶対的貧困というが,この絶対的貧困の測定方式として,生活必需物資の量を積み上げて貧乏線poverty lineを算定するマーケット・バスケット方式などがある。やがて絶対的貧困から脱して,一般社会の平均とか標準とかの生活水準との比較による相対的貧困がとり上げられる。…

【貧乏線】より

… 貧困感は,食べるものにもこと欠き,肉体的生存を維持することができないときに最も強く意識される。このような意識は絶対的貧困absolute sufferingと呼ばれ,栄養失調や飢餓に苦しんでいる時代にはどこでも観察される。日本でも第2次大戦直後には国民の平均的消費水準が戦前の半分にまで低下し,そうしたなかでこの絶対的貧困が大問題となった。…

※「絶対的貧困」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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