網引き(読み)アビキ

デジタル大辞泉 「網引き」の意味・読み・例文・類語

あ‐びき【網引き】

網を引いて漁をすること。
大宮の内まで聞こゆ―すと網子あごととのふる海人あまの呼び声」〈・二三八〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「網引き」の意味・読み・例文・類語

あ‐びき【網引・網曳】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 地引き網などの網を引いて魚をとること。
    1. [初出の実例]「大宮の内まで聞こゆ網引(あびき)すと網子(あご)ととのふる海人(あま)の呼び声」(出典万葉集(8C後)三・二三八)
    2. 「月の出潮に、網引(アビキ)の声の節も拍子も一様に」(出典:清元・青海波(1897))
  3. 令制において、大膳職(だいぜんしき)に属した品部(ともべ)の一つ。網を引いて魚をとって貢した。
    1. [初出の実例]「網引百五十戸。右三色人等。経年毎丁役。為品部。免調雑徭」(出典:令集解(868)職員)

あみ‐ひき【網引・網曳】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 網を引いて魚を捕ること。また、その人。あびき
    1. [初出の実例]「網引 アミヒキ」(出典:元亀本運歩色葉(1571))
    2. 「舟長(ふなおさ)、馬かた〈略〉あみ引、ふな引、塩焼あま人老若男女数千人」(出典:浄瑠璃・用明天皇職人鑑(1705)三)
  3. 人をだます者(日葡辞書(1603‐04))。

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世界大百科事典(旧版)内の網引きの言及

【来訪神】より

…来訪神の第2の形態は,南島にしばしばみられるように,さまざまな儀礼や神歌の中に暗示されて具体的な姿をまったく見せぬものである。この場合には浜にでて神女たちが行うユークイ(世乞)やハーリー船競争(ペーロン),網引きなどによって来訪神の神迎えが行われる。たとえば沖縄西表島の節祭では各村でハーリーが行われ,そのハーリーが村にもどるとき女たちは神を踊りと独特の手招きで迎える。…

※「網引き」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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