あびき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

あびき

長崎港で発生する副振動 (静振) の別名。語源は「網びき」で,それがなまったものといわれている。振動の山と谷の差 (全振幅) は,大きいときは4~5mに達し,係船ロープを切断したり,設置してある網を流失・破損させたりする。また,異常高潮のため浸水が起こることもある。過去の資料によると,11月から4月に多く発生し,毎年数回は全振幅が 1mを超えるものが起こる。あびきの周期は長崎湾の固有振動周期と同じ約 35分である。発生の原因は,気象擾乱で,具体的には気圧振動であると考えられている。東シナ海西部海域で生じた2~3mbの気圧振動が,振幅の小さな波長の長い海面波動を起こし,東方に伝搬する過程でいくつかの機構によって増幅される。近年,あびきという名称は九州西部沿岸でも使われている。

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海の事典の解説

あびき

長崎湾で発生するセイシュ(副振動)を指す。湾の固有振動周期に対応する約35分の周期をもつ海面昇降であるが、他の海湾のセイシュに比べ振幅が大きく、 湾奥で時には4~5mに達することがある。そのため低地での浸水、係船ロープの切断、荷役への支障等の被害が起こる。大振幅のあびきは台風等の襲来時では なく、長崎周辺の天候が静穏であるときに多く発生し、その原因は東シナ海上に生じた気圧振動にあると考えられている。 (永田

出典 (財)日本水路協会 海洋情報研究センター海の事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

あびき
あびき

周期が数分から数十分の、港湾における海水振動に対する長崎地方の呼び名。「網引」がなまったとされている。セイシュ(または副振動)と同じ現象であり、気象の変動によって生じる港湾の固有振動である。長崎港は地形の影響で、周期が35分前後の大きなあびきがよく発生する。1979年(昭和54)3月31日に発生したあびきはとくに大きく、最大全振幅が279センチメートル(港の奥では数メートル)に達し、ドック破損や船舶漂流などの被害が発生した。[岡田正実]

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