総額表示方式(読み)そうがくひょうじほうしき

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

商品価格として消費税相当額を含む支払い総額を表示する方式。消費税分が表示価格に入っているため「内税方式」、あるいは「税込み表示方式」ともよばれる。これに対し、商品本体の価格のみを表示し、支払い段階で消費税相当額が加算される方式を「外税方式」「税抜き表示方式」とよぶ。総額表示には、税込み価格を表示する方式、税抜き価格、消費税相当額、合計額を表示する方式、税抜き価格と消費税相当額の合計を表示し、その内訳を表示する方式などがある。たとえば、税抜き価格1000円で消費税率8%の場合は「1080円」「1080円(税込み)」「1080円(税抜き1000円)」「1080円(うち消費税80円)」「1080円(税抜き1000円、消費税80円)」などが総額表示にあたる。一方、計算しなければ支払総額がわからない「1000円(税抜き)」「1000円+消費税」「1000円(税抜き)+80円(消費税)」は総額表示には該当しない。総額表示方式は、支払い総額が一目でわかる利点がある一方、消費税分がはっきりとわからない場合もあり、消費者の納税意識が希薄になりかねないとの批判もある。

 日本では1989年(平成1)の消費税導入以来、総額表示方式と外税方式の両方が認められていたが、改正消費税法が施行された2004年(平成16)4月から、総額表示方式に一本化された。また2007年4月からは、企業内の帳簿などの記載も総額表示方式が義務づけられた。ただし2014年4月と2015年10月に消費税率が8%、ついで10%と段階的に引き上げられるのを前に、消費増税転嫁法が施行され、2013年10月から2017年3月末までの期間に限って、支払総額が誤認されない措置がとられている場合は、総額表示規制が一部緩和される。これにより、期間限定ながら「本体価格+消費税」などの表示が認められることになった。これは短期間に二度にわたって税率が変わるため、事業者にとって値札などを変更する手間と費用がかかるうえ、消費者の混乱も予想されるためである。商品価格の表示について、2013年4月以降、自動車業界は従来の総額表示方式を続けるのに対し、外食産業は外税方式に変更する。流通大手では、イオンが総額表示方式をとるのに対し、セブン&アイ・ホールディングスは外税方式を採用するなど、対応が分かれている。

 なお、ヨーロッパ各国は生活必需品の税率を低くする軽減税率(複数税率)制度を導入しており、消費者に税込みの支払総額が明確にわかるよう、各国とも総額表示方式を採用している。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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