日本大百科全書(ニッポニカ) 「縫い糸」の意味・わかりやすい解説
縫い糸
ぬいいと
裁縫用に使用される糸。手縫い糸とミシン縫い糸があるが、狭義には手縫い糸をいう。ミシン糸より撚(よ)りが少ないので柔らかく、布となじみやすい。綿縫い糸、絹縫い糸、麻縫い糸、合繊糸などがあり、また用途上、縫い糸のほか、しつけ糸、ふとん綴(とじ)糸、穴糸などがある。
[岡野和子]
縫い糸
〔1〕綿縫い糸 三子(みつこ)、双子(ふたこ)(二子)撚(よ)りを普通とし、太、中、細の3種がある。16番、20番の手縫い糸が多く用いられ、色は白、黒、赤、緑がある。今日では浴衣(ゆかた)、絣(かすり)木綿などを縫うには、30番のカタン糸を用いることが多い。これは引っ張りに強いが、水に縮むのが欠点である。〔2〕ガス糸 毛羽をガスで焼いて滑りをよくしたもので、光沢がある。水ざらしは毛羽焼きをしないものをいう。〔3〕ガス小町糸 甘(あま)撚りの双糸にシルケット加工を施したもの。絹縫い糸の代用として用いられる。〔4〕絹縫い糸 生糸21デニール20本双子は厚地用で、一般には18本双子、16本双子が用いられ、精練、染色してある。〔5〕絹小町糸 絹紡糸を用いた手縫い糸。光沢がなく、滑りが悪く、弱いが、価格が安いので絹縫い糸の代用とされる。〔6〕麻縫い糸 撚りが多くて強い。伸縮がないため厚地麻、綿布、靴、畳などの縫製に適する。〔7〕合繊糸
絹糸よりじょうぶであるが、伸びやすく、留めや結びが緩みやすい。合繊地を縫うによく、50~60番が使われる。
[岡野和子]
しつけ糸
木綿用には綿しつけ糸、42番双子、綿・絹用にはガスしつけ糸、60番双子、絹用には「ぞべ糸」、21デニール8本双子がある。洋裁の切りじつけには、無さらしの「しろも」、色着きの「色も」という綿しつけ糸を使う。
[岡野和子]
ふとん綴糸
ふとん綿を安定させるため、また、房飾りに用いるもので、絹糸に糊(のり)引きがしてある。
[岡野和子]