最新 地学事典 「縫合線」の解説
ほうごうせん
縫合線
suture line
殻の螺層,隔壁や房室などが他と接合する所の線をいう。頭足類では螺環と隔壁との接合する線。個体発生の初期には単純で,成長とともに複雑化するのが一般的。また,系統発生の初期には比較的単純で,後期に向かい複雑化する系統が多いが,途中で単純化する例もある。縫合線の,成長方向に凸の部分を山または鞍(saddle),凹の部分を谷または房(lobe)という。一般には,個体発生初期の谷の位置に注目して,腹部中央にある谷をEで,側面にある谷をLで,臍(へそ)付近にある谷をUで,背部中央にある谷をIで表す。各谷が複雑化するに従い,その個体発生上の出現の順に番号を付して表記する(例えばELU2U1 U3Iなど)。このような個体発生に着目して表した縫合線の式と,山や谷の形が丸いか鋸(きよ)歯状かといった定性的な特徴を組み合わせてみると,頭足類の系統進化のようすが大変よくとらえられる。螺環の形や表面の装飾に比べて,はるかに変異が小さく,基本的な式に変異はないので,分類上きわめて重要な形質とされる。アンモナイト類の縫合線は,その系統発生に着目すると三つの基本形に分けられる。それらは,古生代の山・谷ともかなり単純なゴニアタイト型,中生代三畳紀に大繁栄した谷が鋸歯状のセラタイト型,中生代ジュラ~白亜紀に大繁栄し山・谷ともに鋸歯状で全体に複雑なアンモナイト型である。有孔虫においては房室の接合線を,ウミユリ類では隣接する輻板の接合線,腹足類では各螺層の接合部をそれぞれ縫合線と呼ぶ。
執筆者:魚住 悟・平野 弘道

出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

