改訂新版 世界大百科事典 「置換群」の意味・わかりやすい解説
置換群 (ちかんぐん)
permutation group
集合MからM全体への1対1の写像をMの置換という。Mの置換全体をS(M)で表すと,写像の合成を乗法としてS(M)は群になる。この群S(M)をMの上の対称群という。S(M)の単位元は恒等写像であり,f∈S(M)の逆元は逆写像f⁻1である。S(M)の部分群はMの上の置換群と呼ばれる。Mの元数がnのとき,S(M)はn次対称群と呼ばれる。M={1,2,……,n}のときと同型であるので,以下,M={1,2,……,n}とし,S(M)をSnで表す。Snの元σについて,σ(i)=aiのとき,σをで表す。
σ(a1)=a2,σ(a2)=a3,……,σ(ar-1)=ar,σ(ar)=a1で,σがa1,……,ar以外の元を動かさない(自身に写す)とき,σは巡回置換であるといい,σ=(a1,……,ar)と表す。r=2のときが互換である。Snの中で偶置換全体Anは正規部分群になる。この置換群をn次の交代群という。n≧5ならば,Anは自分自身と単位元のみからなる部分群以外には正規部分群をもたない。このことは方程式の可解性と深い関係がある。
→ガロアの理論
執筆者:丸山 正樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報