翁面(読み)おきなめん

精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 能面の一種。中世、猿楽と呼ばれていた頃から用い、現在では、能楽で「翁」「式三番(しきさんば)」といわれる曲で、シテが演ずる翁に用いる白い彩色の白色尉(はくしきじょう)(=古くは肉色の彩色の肉色尉もある)と、狂言方が演ずる三番叟(さんばそう)に用いる黒い黒色尉(こくしきじょう)とがある。このほか、現在では普通は上演されない父尉(ちちのじょう)とがある。「白色尉」「黒色尉」ともに、顎(あご)は切れて両端を紐で結びつけてあって、ひげは植毛であるが、「白色尉」では鼻ひげは毛描きである。おきなおもて。おきな。おきなの面。
※風姿花伝(1400‐02頃)四「その中をゑらびて、稲経(いなつみ)の翁(おきな)〈翁面〉、代経(よなつみ)の翁〈三番申楽〉、父助(ちちのぜう)、これ三を定む」

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世界大百科事典内の翁面の言及

【仮面】より

…この猿楽・田楽はまた,長い中世の間に,五穀豊穣,不老長寿,天下泰平など人間生活の根底にある願望を象徴する翁舞の仮面をも取り込んだ。この翁面は始源は明確でないが,東南アジアの一地方に残る仮面と同巧の工作があり,はるか遠い時点での関連が想像される。能・狂言は中世末期に猿楽・田楽から脱皮して大成し,近世に栄えた楽舞で,その歌舞と演劇の日本的な巧緻なないまぜは仮面にも微妙なニュアンスを与え,世界にも類をみないほどの多種多様な仮面をつくりだした。…

【能面】より

…能楽に用いられる仮面(面(おもて))をいうが,その先行芸能である猿楽田楽に用いられた仮面をも含むのが普通である。たとえば翁舞に用いられた翁(おきな)面,三番叟(さんばそう),父尉(ちちのじよう),延命冠者(えんめいかじや)は鎌倉時代にその形制を確立して,そのまま能面に継承された。追儺(ついな)または鬼追いに用いられた各種の鬼面は,猿楽や田楽のなかで変貌し,南北朝から室町時代にかけての能楽大成期に,能面らしい形に分化したと思われる。…

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出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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