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能面 のうめん

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

能面
のうめん

能に用いる面。「オモテ」という。シテおよびシテヅレが用いるが,ワキは用いない。シテが能面を用いない役もあり,直面 (ひためん) という。種類は,約 100種,大別すると次のとおり。 (1) 翁 (おきな) 面 白式尉 (はくしきじょう) ,黒式尉,老人の笑 (わらい) 尉,小尉,舞尉,悪尉など。

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デジタル大辞泉の解説

のう‐めん【能面】

に用いる仮面。尉面(じょうめん)姥(うば)般若(はんにゃ)平太など種類が多い。彫り方や彩色にも工夫がなされ、一つの面で喜怒哀楽を表現できるように作られている。おもて。
[補説]書名別項。→能面

のうめん【能面】[書名]

白洲正子による随筆集。昭和38年(1963)刊行。翌年、第15回読売文学賞受賞。

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百科事典マイペディアの解説

能面【のうめん】

オモテ。能に用いる木彫の面。顔面をおおうだけで,《伎楽面》,《舞楽面》より小型に作られる。室町〜江戸初期に完成され数百種に及ぶが,常用は70〜80種。女面(小面(こおもて),増,深井の類)や尉面(じょうめん)(小牛尉の類)など,喜怒哀楽いずれの表情にも見え得る中間表情のものと,瞬間表情の鬼畜面など(《般若》(はんにゃ),獅子口(ししぐち)の類)に大別される。
→関連項目仮面十作赤鶴竜右衛門般若

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世界大百科事典 第2版の解説

のうめん【能面】

能楽に用いられる仮面(面(おもて))をいうが,その先行芸能である猿楽田楽に用いられた仮面をも含むのが普通である。たとえば翁舞に用いられた翁(おきな)面,三番叟(さんばそう),父尉(ちちのじよう),延命冠者(えんめいかじや)は鎌倉時代にその形制を確立して,そのまま能面に継承された。追儺(ついな)または鬼追いに用いられた各種の鬼面は,猿楽や田楽のなかで変貌し,南北朝から室町時代にかけての能楽大成期に,能面らしい形に分化したと思われる。

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大辞林 第三版の解説

のうめん【能面】

能楽で用いる仮面。200種以上あり、鬼神の面、老人の尉面じようめん、男面、女面などに分けられる。おもて。
[句項目]

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

能面
のうめん

能に用いる仮面。「おもて」とよばれ、「めん」とはいわない。ヒノキを彫り、顔料(がんりょう)で彩色して仕上げる。キリ、クスノキ、カツラを材料とすることもある。種類によっては目や歯に銅をはめ込み、めっきを施す。ひげやまゆげなどに植毛を施すこともある。伎楽(ぎがく)面、舞楽(ぶがく)面の類に比べ、薄く小形につくられているのが特徴。瞬間的な表情を写したもののほか、中間表情とか無限表情とかよばれるものは、長期間の使用や心理表現の可能な工作がくふうされている。
 世阿弥(ぜあみ)の『申楽談儀(さるがくだんぎ)』には、能面以前の古い形態である翁(おきな)面の作者として、日光、弥勒(みろく)の名に続いて、鬼の面の上手(じょうず)の赤鶴(しゃくづる)、女面の上手の愛智(えち)ほか、石王兵衛(いしおうびょうえ)、竜右衛門(たつえもん)、夜叉(やしゃ)、文蔵、小牛(こうし)、徳若、千種(ちぐさ)らの名が記されている。彼らが打ったと伝える創作面は、各流儀の「本面(ほんめん)」としてたいせつに伝承されている。世阿弥の語ったことと、この流儀の伝承を前提とすると、能面がむしろ能の完成に先だっていたことにもなるし、観阿弥(かんあみ)・世阿弥以前に、かなり高度な仮面劇があったと考えざるをえないことになる。このなかば伝説的な創作期に続いて、室町末期から桃山時代にかけては、三光坊、般若(はんにゃ)坊ほかの名工が出、能面の種類も文献に現れるだけで60ほどになる。三光坊の流れをくむ出目(でめ)家の三系統が名高く、河内(かわち)・是閑(ぜかん)などが技巧に秀でている。江戸時代は古作の模写時代であり、面打ちは世襲となって幕府に仕えた。観世流が女面の基本とする若女(わかおんな)は、河内の打った最後の創作面といえる。明治以降も入江美法(びほう)、北沢耕雲は著名な能面作家であり、現代も少数だが、真摯(しんし)な作家がいる。新作能のためのキリストの能面が創作されることもあり、一方ではカルチャー・センターなどの能面教室も流行している。
 能面の種類は基本型が40~50ほど。普通に舞台で用いられるものは100種程度であろう。派生面を数えるとその2倍程度となる。(1)『翁』関係の白式尉(はくしきじょう)・黒式尉(こくしきじょう)の類は別格。(2)老人の面に、庶民の笑尉(わらいじょう)、神聖みのある小尉(こじょう)、舞を舞う役の舞尉(まいじょう)、超人的な悪尉(あくじょう)の類。(3)女面に、若い女の小面(こおもて)、孫次郎、若女、増(ぞう)、近江(おうみ)女。ややふけた女の曲見(しゃくみ)、深井。怨霊(おんりょう)の面に泥眼(でいがん)、橋姫。死霊の面に痩女(やせおんな)。老女の面に姥(うば)、老女。(4)男面には、年若い修行僧の喝食(かっしき)。若い男の面に十六(じゅうろく)、貴族の顔の中将や、若い男神にも流用する邯鄲男(かんたんおとこ)。荒々しい武士の面に平太(へいだ)。怨霊の面に三日月、怪士(あやかし)。男の死霊の痩男(やせおとこ)、蛙(かわず)。妖精(ようせい)的少年に童子(どうじ)、慈童や猩々(しょうじょう)。(5)異相面に、天狗(てんぐ)の面の大(おおべしみ)、閻魔(えんま)や鬼神の小(こべしみ)。陽性の神の面に大飛出(おおとびで)、小(こ)飛出、竜神の黒髭(くろひげ)。鬼の面の顰(しかみ)、その系列の獅子口(ししぐち)。女の鬼の般若、蛇(じゃ)。(6)畜類面に野干(やかん)。(7)仏面に天神、不動。(8)一曲の専用面に頼政(よりまさ)、弱法師(よろぼし)、蝉丸(せみまる)、景清(かげきよ)、俊寛、山姥(やまんば)などがある。
 能面は単なる扮装(ふんそう)の道具ではなく、用いられる能面によってその曲の演出が決まるほどの重要さをもっており、能役者はこれを神聖なものとして扱っている。能面をかけるのはシテ方の特権であり、現実の男性にだけ扮するワキ方が能面を用いることはまったくない。楽屋で装束をつけたシテ方は鏡の間で精神を統一し、最後に能面をかけて役に没入し、幕にかかって出を待つ。能面をややうつむかせて嘆きや決意を表す「クモル」、ややあおむかせて喜悦の情を見せる「テラス」、左右を見回したり風や虫の音を聞いたりする「面ヲツカウ」、鋭角的に激しく動かす「面ヲ切ル」などが基本の技法である。素顔の役は「直面(ひためん)」、つまり自分の顔をそのまま能面として用い、顔面表情や、メーキャップをすることはまったくない。[増田正造]
『野上豊一郎著『能面論考』(1944・小山書店) ▽片山九郎衛門編『観世家伝来能面集』(1954・檜書店) ▽白洲正子編『能面』(1963・求龍堂) ▽金春信高・増田正造・北澤三次郎著『能面入門』(1966・平凡社) ▽中村保雄編『能面』(1979・駸々堂) ▽金剛巌著『能と能面』(1984・創元社) ▽梅若紀彰編『梅若能面百姿』(1985・平凡社)』

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世界大百科事典内の能面の言及

【狂言面】より

…狂言が能と密接に関係するのと同様に,狂言面も能面と関係している。製作者もほとんど共通しており,能面と同様に在来の仮面より写実的に作られている。…

【能】より

…このように,作り物を出すにはそれぞれの演出目的があるのであって,一般の演劇の舞台装置とはその意味を異にしている。作り物
【能面】
 能は仮面劇であるが,すべての役が面を掛けるのではない。まず霊体・準霊体(風流体)の役はすべて面を掛ける。…

【室町時代美術】より

…この間一方で,花鳥,花木を描いたやまと絵の金屛風,金扇が蒔絵(まきえ)とともに明や朝鮮の王室に日本の特産物としてしばしば進貢されている点も注目される。 室町初期にはじまる能は,従来の伎楽面,舞楽面に代わる能面狂言面という新しい面の様式を生んだ。能面は,中期から後期にかけて,心理的陰影に富んだ余情美の表情をつくり出すが,これは世阿弥による夢幻能の象徴性と呼応する。…

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