改訂新版 世界大百科事典 「翼賛壮年団」の意味・わかりやすい解説
翼賛壮年団 (よくさんそうねんだん)
青壮年による大政翼賛会の外郭団体。正式名称は大日本翼賛壮年団(翼壮)。大政翼賛会が治安警察法3条にいう公事結社(非政治的団体)と認定され,国民政治力の結集に失敗したため,ナチスの親衛隊にヒントをえた陸軍省軍務局長武藤章らが黒幕となり,大政翼賛運動の実践部隊として1942年1月16日に結成された。全国団の下に道府県団と郡市区町村団が組織され,21歳以上の青壮年有志による同志組織であることが強調された。公事結社であるにもかかわらず,42年4月30日の〈翼賛選挙〉では40余名,4~6月の市町村会議員選挙では定員の28%に当たる3万2833名の団員を当選させ,一大政治勢力にのしあがった。翼壮は都市よりも農村でより活発に活動し,自作農を中核とし自作地主と一部の小作農を含んだ農村の中堅人物を中心に下からの急進ファシズム的運動を展開し,翼賛政治会や地方官庁などとの対立を引き起こしたが,本土決戦に備えて,45年5月30日解散し,国民義勇隊へ発展的解消をとげた。
執筆者:木坂 順一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報