(読み)こう

普及版 字通 「耿」の読み・字形・画数・意味


10画

[字音] コウ(カウ)・ケイ
[字訓] あきらか・きよらか

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
耳+火。耳は聖・聡の意。火は聖火。これを以て清める意であろう。〔説文〕十二上に「耳、頰(ほほ)に(つ)くなり」とするが、その義の用例をみない。金文の〔毛公鼎〕に「武の耿光」とあり、〔書、立政〕に「丕(おほ)いに上耿命を釐(をさ)む」「以て王の耿光を覲(しめ)す」とみえる。火部十上に「(けい)は火光なり」とあり、〔玉〕に「は或いは耿に作る」という。は頃(霊の降るのを迎え拝する形)に火を加える形で、耿もそのような意を含む字と思われる。〔楚辞、離騒〕に「耿として吾(われ)に此の中正を得たり」とあって、神聖を迎えるような心情をいう。

[訓義]
1. あきらか、きよらか、清明の心。
2. てる、ひかる。
3. 耿耿、うれえるさま。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕耿 イタム・イタミ・タル・スコシ・ヒノヒカリ

[語系]
耿kyeng、炯kyueng、kiengは声近く、〔説文〕十上に炯は「光なり」、は「火光なり」とあり、一系の語である。

[熟語]
耿介耿懐耿暉・耿・耿耿・耿光・耿・耿正耿節・耿然耿愴耿著・耿直耿特・耿命耿悒・耿耿亮耿烈
[下接語]
気耿・光耿・清耿・雄耿

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【殷】より

…甲骨文によっても,王系の混乱が最も多い時期であることが,《史記》の伝承を裏付けている。しかも第12代河亶甲は相に,第13代祖乙は耿(こう)(河南省沁陽県),さらに庇に,第17代南庚は奄(山東省曲阜県)に都を移したと言われる。このうち相,庇が現在のどこか異説が多いが,いずれも河南中東部,山東西部,安徽北西部の範囲内にふくまれ,中期の殷の政治的勢力範囲の重要部がここにあったことを示し,その範囲が前期より拡大したと言える。…

※「耿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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