清明(読み)セイメイ

デジタル大辞泉 「清明」の意味・読み・例文・類語

せい‐めい【清明】

[名・形動]
清く明らかなこと。また、そのさま。「清明の気」「清明な秋月」
二十四節気の一。4月5日ごろ。このころ、天地がすがすがしく明るい空気に満ちるという。 春》「―の路ゆくばばが念珠かな/蛇笏
[形動タリ]澄んで明るいさま。
「月―たるに見れば」〈太平記・二五〉

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精選版 日本国語大辞典 「清明」の意味・読み・例文・類語

せい‐めい【清明】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動ナリ・タリ ) 清く明らかなこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「敢不蘋藻清明、玉幣重畳、以賽応験、以飾威稜」(出典菅家文草(900頃)七・祭城山神文)
    2. 「流泉の曲の間には、月清明の光をあらそふ」(出典:平家物語(13C前)三)
    3. 「彼鏡を都合三日にて研上げしに、実も清明光潔にして誠に可貴様成故」(出典:随筆耳嚢(1784‐1814)五)
    4. [その他の文献]〔詩経‐大雅・大明〕
  3. 二十四節気の一つ。天文学的には、太陽が黄道上の一五度の点を通過するときで、暦の上では、陰暦三月、春分のあと一五日目、新暦の四月五、六日ごろに当たる。清明節。晴明。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「毎清明新燧火、芳声将百花」(出典:菅家文草(900頃)六・清明日、同国子諸生、餞故人赴任)
    2. 「毎年清明の節には、雨がふる也」(出典:中華若木詩抄(1520頃)下)
    3. [その他の文献]〔淮南子‐天文訓〕

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普及版 字通 「清明」の読み・字形・画数・意味

【清明】せいめい

清く明らか。また、清明節。〔東京夢華録、七、清明節〕第三は、の日なり。そ新は、皆此の日を用(もつ)て拜す。の人、郊に出づ。~四野市の如く、樹の下、或いは園囿のに就き、杯盤(はいばん)を羅列し、互ひに相ひ酬す。の歌兒女、園亭に滿つ。

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改訂新版 世界大百科事典 「清明」の意味・わかりやすい解説

清明 (せいめい)
Qīng míng

中国,二十四節気の一つ。新暦4月4,5日ごろにあたる。気候もすっかり温暖となり,桃やスモモの花が咲き,柳が緑にけむって,まさに清明(すがすがしい)と呼ぶにふさわしい。唐代以降,郊外に出かけて酒宴を開く,いわゆる踏青とうせい)の行事が盛んになったのも,新鮮な緑へのあこがれのためである。清明節は,禁火のために冷食する寒食節の後に直接連続する祝日であり,早朝になると,人々は一斉に新しい火を起こした。これを新火と呼ぶ。宮中で百官に下賜された新火は,ニレ(楡)や柳の枝を用いて起こしたものという。宋代,前2日の禁火・冷食の寒食節を含めて清明節と呼び,行事も重なりあう。清明節最大の行事は墓参であり,宮中から庶民の家にいたるまで,郊外へ墓参に出かけて墳墓の掃除をし,焼香して紙銭や紙馬(紙製の彩色の神像)を焼いて供養した。庶民の墓は土まんじゅう型をしており,土盛りすることがたいせつであった(中元節にも墓参が盛ん)。

 また宋代には,柳の枝を門にさしたり,子推燕(しすいえん)と呼ばれる一種の蒸しだんごを柳の枝で串ざしにして門にさしたりした。これは,子どもや婦人たちが柳の枝を髪にさした清代の行事とともに,生命力に富む柳の辟邪(へきじや)の力に着目した習俗であろう。ちなみに,子推は寒食の由来となった介子推を指す。清明節の遊戯としては,墓参後にも行われた踏青の楽しい遊び以外に,鞦韆(しゆうせん)(ぶらんこ)遊びや打毬(だきゆう)(ポロ),蹴鞠(しゆうきく)(けまり),闘鶏などがある。鞦韆は唐・宋時代や遼代,婦人や子どもたちの楽しい活発な遊びとなり,唐の玄宗は半仙の戯と呼んだ。また打毬や蹴鞠などが盛んなのは,この前後に雨が多く,塵がたたないためである。この春雨アンズの花の咲く時期にちなんで杏花雨(きようかう)と呼ばれた。現在は墓参して祖先の霊を供養するほか,革命に殉じた烈士をまつる日ともなった。周恩来の死をいたんだ天安門事件(1976年4月5日)が起きたのも,この清明節である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「清明」の意味・わかりやすい解説

清明
せいめい

二十四節気(せっき)の一つ。太陽の黄経が15度に達したときで、暦のうえでは陰暦3月、春分ののち15日目、新暦の4月5、6日ころにあたる。「万物ここに至って皆潔斎(けっさい)なり」といわれる季節である。琉球(りゅうきゅう)(沖縄地方)ではこの日を清明祭といって墓参を行う。また関東以西の本土ではソメイヨシノの花盛りの時期にあたる。

[根本順吉]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「清明」の意味・わかりやすい解説

清明
せいめい

二十四節気の一つ。太陰太陽暦の3月節 (3月前半) のことで,太陽の黄経が 15°に達した日 (太陽暦の4月5日か6日) に始り,穀雨 (黄経 30°,4月 20日か 21日) の前日までの約 15日間であって,その頃季節的にすがすがしい南東の風が吹くので,清明と名づけられた。現行暦ではこの期間の第1日目をさす。昔中国ではこれをさらに5日を一候とする三候 (桐始華,田鼠化為じょ,虹始見) に区分した。それは,桐の花が咲きはじめ,もぐら (田鼠) が家鳩 (じょ) に化け,虹が見えはじめる時期の意味である。

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日本文化いろは事典 「清明」の解説

清明

4月5日頃 清明とは「清浄明潔」の略で「万物ここに至りて皆潔斎にして清明なり」という意味があります。間単にいえば「満開の桜をみると、全てのモノが生き生きしているように見えるなぁ。さあ、花見だ!」ということでしょうか。この頃南の地方には、越冬のためツバメが渡ってくるようです。

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