改訂新版 世界大百科事典 「聴力改善手術」の意味・わかりやすい解説
聴力改善手術 (ちょうりょくかいぜんしゅじゅつ)
外耳や中耳の異常のため音を伝える構造に変化がおこって難聴があるとき,手術してこれを処置し,きこえをよくすることができる。これらの手術を総称して聴力改善手術という。慢性中耳炎で鼓膜や耳小骨に変化のあるとき行われる鼓室形成術,あぶみ骨の動きが悪い耳硬化症に行われるあぶみ骨切除術,先天性外耳道閉鎖症に対する外耳道・鼓室形成術,外傷性の耳小骨離断に対する再建術などがこれにあたる。鼓室形成術は,ひろく行われている手術で,病変を除去し音を伝える構造をつくる。この術式の開拓者の一人ウルステインWullsteinの分類(Ⅰ~Ⅴ型)が知られている。鼓膜の穿孔(せんこう)のみのときは鼓膜をつくり(Ⅰ型または鼓膜形成術),病変がひどくて内耳に音の入る口がないときには,内耳に穴をつくり,この上に鼓膜をはる(Ⅴ型)。
執筆者:星野 知之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報