日本大百科全書(ニッポニカ) 「再建術」の意味・わかりやすい解説
再建術
さいけんじゅつ
病気やけが、手術などで失われた器官やその機能を再建する手術。冠状動脈の閉塞(へいそく)に対して行われる大動脈―冠状動脈バイパス術といった冠血行再建術、乳癌(にゅうがん)治療のために切除した乳房を再建する乳房再建術などのように、切除された部位を代替人工物や自身の体の一部を用いて補完する目的のものと、器管切除後に行われる胃十二指腸吻合(ふんごう)術、回腸S状結腸吻合術、回腸直腸吻合術などの消化管再建術のように、機能修復のために行うものがある。広範部位の切除では胃を咽頭(いんとう)部まで引き上げて吻合する咽頭胃吻合術のようなものもある。脳外科領域では頭蓋(とうがい)底を移植骨などで再生する頭蓋底再建術、神経系では正中神経麻痺(まひ)に対して麻痺のない腱(けん)を移行する対立運動再建術などがある。耳鼻咽喉(いんこう)領域では、喉頭全摘出術後に音声の再獲得の目的で行われる気管食道短絡、耳介変形に対する外耳再建術や外耳道後壁を再建する外耳道再建術などが、眼科領域では結膜嚢(のう)再建術などがある。呼吸器系では、気管分岐部切除後の気管分岐部再建術がある。尿路再建術では腸管を利用して代用膀胱(ぼうこう)とする新膀胱などがある。整形外科領域では、悪性骨腫瘍(しゅよう)の切除後に骨支持性の再建のために行われる骨再建術、膝蓋(しつがい)骨アライメント再建術、弛緩(しかん)・伸長した筋を再建する前進術や靭帯(じんたい)再建術などがある。ほかにリンパ浮腫に対するリンパ管再建術などもある。
[編集部]