国指定史跡ガイド 「肥前国庁跡」の解説
ひぜんこくちょうあと【肥前国庁跡】
佐賀県佐賀市大和町にある国庁跡。筑紫平野の西部、脊振(せふり)山地に源をもつ嘉瀬川が形成した扇状地の中央部付近に位置する。1975年(昭和50)から10年にわたって発掘調査が行われた結果、8世紀前半から10世紀前半ごろまでの国庁跡の規模と内部構造がほぼ判明。1989年(平成1.)に国の史跡に指定された。国庁域は築地で区画され、その規模は東西77.2m、南北104.5m。門は南門だけ検出され、規模は東西約9.7m、南北約5.3m、高さ約6.8mで、2度の建て替えが認められ、最初は掘立柱建物だったが最後は礎石建物に変えられていた。国庁域内で発見された建物は、すべて掘立柱建物で、南門、前殿、正殿、後殿は、建物中軸線をそろえて南北に配列されており、この中軸線は国庁域の中軸線ともなっている。遺物は須恵器(すえき)・土師器(はじき)などの土器類や屋瓦類を大量に検出。国庁域内の建物配置が大宰府都府楼に類似することなどから、大宰府との関係も推測されている。現在、公園として整備され、南門と築地塀(両翼10m)が復元されており、肥前国庁跡資料館もある。JR長崎本線ほか佐賀駅から市営バス「尼寺」下車、徒歩約15分。